大学院の外部受験を決意した後、最初に行ったのは、志望校探し、すなわち、指導教員・研究室探しです。
研究室訪問や大学院の説明会へ参加する前に、インターネットを駆使して、大学院や教授、研究室の情報を集めました。
自分の場合、通信制大学に通っていたので、手元に大学院や教授に関する情報はゼロでした。
また、他大学の受験を考えていたため、どうにかして、教授の情報を集める必要がありました。
他大からの情報集めは本当に大変です。受験勉強の中で、一番頭を使って主体的に行動したかもしれません。
大学院の2年間、指導を受ける教授との相性は非常に重要となります。
職場の上司と部下よりも強い関係となることが予想されるうえ、パワーバランス的にも確実に自分が下となります。また、大学の研究室やゼミ内の人間関係はとても閉鎖的です。
パワハラ・セクハラ・アカハラをしてくるような教授の元には行きたくないという強い意志がありました。
また、自分のやりたい研究ができる研究室や先生を探す必要がありました。
今回は、他大学へ受験する際に、教授の情報を集めるためにやったことを全て書きたいと思います。
専門性の合致
まずは、教授の専門領域と、自分が研究したい領域が合う教授を探しました。
論文を探す
Google scholarやCiNiiを使用して、自分の興味のある単語を検索したり、気になる教授の名前で論文検索を行いました。英語論文を出している可能性があるので、教授の名前は漢字と英語の両方で検索しました。
また、共著論文では、共同研究者の方を調べたり、引用論文の筆者を検索する等して、より自分の興味のある領域と近い専門分野を持つ教授を調べ、複数人リストアップしていきました。
CiNii Articles - 日本の論文をさがす - 国立情報学研究所
所属学会を探す
Resarchmapで気になった教授の名前を検索し、現在の所属している大学や、学会について調べました。
学会誌を読む
興味のある学会が発行している雑誌や論文を読みました。自分の興味のある研究をしている教授の名前を控え、さらに検索をしていく、という過程を繰り返し行いました。
さらに詳しく先生について調べる
大学院のHP、先生の個人HPを探す
大学院のHPや個人HPを検索しました。顔写真が載っていると、よりその人のパーソナリティを予測することができました(写真が全てではないですが)。
個人HPには、「研究室の方針」「自分の研究室に来てほしい学生像」などが掲載されていることがあります。個人HPの情報から、自分と合いそうかどうかについて判断しました。(個人HPがある教授を見つけたときの喜びは大きかったです)
Twitterを探す
最近は、Twitterをしている先生も増えてきました。研究用に実名で運用している先生を多く見かけます。投稿の内容や口調、時間帯などをチェックしました。
(Twitterの投稿時間があまりにも遅い場合、ブラックなのかな…とか想像していました)
大学院説明会に参加する
候補の先生が絞れてきた段階で、大学院説明会に参加しました。研究室訪問と、大学院説明会への参加は必須です。
大学院説明会では、もちろん大学院に関する情報を集めるのがメインですが、気になる先生の話し方、表情、他の先生との絡み方などにも注目しました。学科内で孤立気味なのか、周囲の先生と協調的に仲良さそうにやっているかなどを観察しました。(もちろん、説明会の時だけいい顔をしている可能性もありますが…)
自分の志望していた臨床心理学分野の場合、他の教授との関係性や風通しのよさなども、大学院生活の快適さに強く関係すると考えていたため、他の教授との関係性や人柄についても、志望校を決める際に頭の片隅で検討しました。
セミナー、勉強会に参加する
志望する先生が、セミナーや勉強会を開催していた場合、参加して話を聞いてみました。
臨床心理学の場合、年に1回程度、一般向けの講演会などを行っている大学院が多いため、狙ってみるといいかもしれません。
本当は授業に潜れたら一番よかったのですが(だめかもしれませんが)、さすがにできませんでした。
学会発表を聞きに行く
コロナ禍ということもあり、対面での学会参加は難しかったのですが、オンライン上で先生や先生の学生が発表しているところを聞いたりしました。どんな学生がいるのか、先生や学生の雰囲気など、発表を聞くだけでも見えてくるものがありました。
研究室訪問する
何をどう考えても、一番重要で、絶対に行うべきものが研究室訪問です。
研究室訪問のやり方については、別記事に書こうと思っています。
アポ取りに対するメールの文面、当日話した感触、口調、内容、自分の直感などを総合的に考えて、志望指導教員を決めました。
研究の専門分野の合致ももちろん重要ですが、人間として相性が合いそうか合わなさそうか、を考えるのも重要だと思っています。
どんなに専門分野が近くても、研究実績がすごくて有名でも、パワハラ・セクハラ・アカハラをしてくるような先生の元に居たら、自分が参ってしまいます。
充実した大学院生活を送るためには、まずは自分の心身の安全性が確保される環境を選ぶことが最重要です。
学生からの評判
なんとかして学生と知り合う
教授と会って話をすることも大事ですが、教授が指導している学生から話を聞くことも重要です。
研究室訪問の時、気を利かせて院生に合わせてくれる教授もいましたが、基本的には自分でコンタクトを取る必要があります。
自分の場合は、心理学を専攻していたので、志望する大学で募集されている心理学実験に参加して、その大学の学生とのコネクションを作りました。
あとは、学会で質問するといった方法もできると思います。
学生から聞いたこと
先生の評判や、指導方針、ゼミの運営や先輩たちの進路などたくさんのことを聞きました。
また、臨床心理学は実習もあるため、実習の体制や実習先、研究との両立、学会発表の義務の有無など多くのことを聞きました。
大学院受験の勉強、面接でどのようなことを聞かれたかなどの院試対策についても教えてもらいました。
院生がいない研究室ってどうなの…?
臨床心理学の場合、院生が一人も所属していない研究室というのはほぼないと思いますが、他の領域の場合、院生が一人も所属していない研究室がある場合があります。
この場合「教授がヤバすぎるため、院生が逃げ出したor病んでしまった」可能性を考えたほうがいいです。あくまで可能性ですが。
自分が過去に在籍していた大学(心理学とは全く関係ない理系の領域です)には、パワハラで有名な大学教授がおり、その先生の元には院生が誰も残らない研究室がありました。学部生は強制的に数名研究室配属されますが、大学院へ進学する際には、全員他の大学院を受験するか、就職して逃げ出してしまう、という状況でした。
修士課程や博士課程が誰も在籍していない研究室の場合、教授の人間性に難がある可能性があるので、その点も考慮して、研究室探しをした方がいいと思います。
逆に、院生がたくさんいる(特に博士課程がたくさん所属している)研究室は、教授と学生の関係性もいいのかな?と考えたりしました(自分はまだ修士課程以上に所属したことがないので、分かりませんが)。
このような評判を聞くためにも、学生から話を聞くことはとても重要だと考えています。
できたら、その教授と利害関係のなくなった卒業生に話が聞けるのが一番ですが、それは現実的に難しいため、研究室に所属している院生(修士・博士課程)から話を聞けるといいと思います。
他大の情報を集めるのは、本当に大変ですが、何も調べずに大学院へ入って後悔するより、予めできる限りの情報を集めて、その中で自分が納得して進路を決められた方がいいと思います。
自分が、志望校や指導教官を決めるときに考えた基準や、志望校を決めるまでのスケジュールについては下の記事に書いてあるので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
このブログには、大学院受験の勉強方法(心理学・英語・統計学)や、面接対策・研究室訪問、研究計画書の作成方法についても書いてあります。
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