通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

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放送大学大学院臨床心理学プログラムの過去問研究と対策を考えてみた

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最終更新日:2024年8月28日

投稿日:2024年5月19日

 

この記事では、放送大学大学院修士課程 文化科学研究科 文化科学専攻 臨床心理学プログラムの入試情報と過去問研究について考えてみます。

放送大学大学院は、公認心理師臨床心理士を目指すための通信制の心理系大学院のひとつです。

 

公式HPで公開されている情報を元に考えたこと・分析になります。

出題傾向や試験形態については、変更される可能性があります。各自最新の情報を確認してください。

記事内の内容は、あくまでも「もしも私がこの大学院を受験するなら、こんな感じで筆記対策をするかな~」と考えた内容です。

 

筆者は放送大学大学院を受験したわけではないので、あくまでも一意見として読んでもらえたらと思います。

筆者は社会人から国立大学院へ進学し、現在は心理職として働いています。

 

今回の過去問分析で使用したものは、2022年度~2024年度入試分になります。

過去問自体は掲載しません。各自公式HPからダウンロードして活用してください。

参考:臨床心理学プログラム | 放送大学

 

 

 

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入試全体の分析

放送大学大学院 臨床心理学プログラムについて

放送大学大学院の臨床心理学プログラムは募集人数約30名です。他大学と比べると、比較的人数が多い大学院かと思います。

臨床心理士の第2種大学院指定校のため、大学院修了後、1年間現場で実務経験が必要になります。

 

試験について

1次選考は筆記試験であり、専門分野(臨床心理学)のみです。

他の大学院では、英語試験が実施される、もしくはTOEICの結果の提出が求められる場合が多いため、専門の筆記試験のみで1次選考が実施されるのは珍しいと考えられます。

 

2次選考は面接試問(対面)です。他のプログラムはオンラインで実施されているようですが、臨床心理学プログラムの場合、対面で実施されるようです。

研究計画書は1000文字程度で書く必要があるため、簡潔かつ具体的な研究計画書を作成する必要があります。

 

倍率と難易度

2023年度は10.71倍、2022年度は7.77倍、2021年度は7.83倍とかなり高い倍率です。

他の大学院と比べて相当難易度・競争率が高いと考えられます。

参考:臨床心理学プログラム | 放送大学

 

 

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筆記試験対策

2022年~2024年の過去問を見た上での筆記試験対策について考えてみます。

 

全体的な傾向

2時間で大問5問を回答、1問につき600文字で答える必要があります。

そのため、用語の定義や説明だけでなく、その心理用語の関連用語や事象、メリット・デメリット・違いなどを理解した上で、自分の言葉で筆記する必要があります。問題の難易度も高い印象を受けました。

見直しの時間を考えると、大問1問にかけられる時間が15分~20分、長くて25分になるので、多くの文字数をさくさくと筆記する練習もしておくと良いと思います。

 

特に重点的に抑えたい分野

事例問題は、学校領域(児童期・思春期)の出題が多いです。また、ThとClの2者の関わりだけでなく、教員や保護者に対するコンサルテーションや助言など、チーム学校として臨床実践をする上での視点が求められているように感じました。

児童期・思春期の精神疾患の特徴や発達特性、プレイセラピーやコンサルテーションなどの臨床、発達検査・知能検査など、幅広くおさえておきたいです。

 

地域援助・コミュニティアプローチなども毎年出題されているので、そのあたりの用語も抑えたいです。

 

また、臨床心理学の研究法についても、毎年出題されています。用語を答えるだけでなく、それぞれの研究法の特徴やメリット・デメリット、実際に自分が研究計画を立てる上で必要になる知識や知見を説明できる必要があると感じました。

研究法の出題問題自体は、そこまで難しい内容ではないため、全て完答できる水準までもっていきたいです。

 

 

受験対策におすすめの参考書

臨床心理学や研究計画書の作成に使用した参考書はこちらの記事にまとめています。まずはこちらの記事の参考書をチェックしてみてください。

▶心理学の対策に使った参考書

心理系大学院に合格した参考書【公認心理師・臨床心理士】【大学院受験】【難関国立大学合格】

 

▶研究計画書の作成に使った参考書

【心理系大学院】研究計画書に役立った参考書まとめ【公認心理師・臨床心理士】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

プラスアルファで、放送大学大学院の受験対策に使えそうな本をピックアップしてみました。

 

公認心理師臨床心理士大学院対策 鉄則10&過去問30 院試実践編

主に筆記対策全般の考え方を学んだり、事例問題の対策に使いたい1冊です。

300字~800字の論述問題の対策ができる参考書になっているので、放送大学の600文字の筆記対策にも使えます。

また、第4章に臨床心理学的地域援助、第5章に臨床心理学的研究、第6章に事例(いじめ・遊戯療法・発達障害)の解説がされており、放送大学の過去問の出題傾向に沿った対策ができると思います。

 

 

赤本 公認心理師国試対策2024

事例問題でどう書いたらいいか分からない人や、最初の掴みが難しい人の対策になると思います。公認心理師の過去問が掲載されており、5択なので、「いきなり記述対策するのは難しい…」という人におすすめです。

「第15章 心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助)」や「第18章 教育に関する心理学」の事例問題をやってみるだけでも、参考になると思います。

将来受験する公認心理師試験でも活用できる本なので購入しても損はないです。

ただ、5択問題だけが解けるようになっても、論述対策が完璧になるわけではありません。最終的には自分の力で600文字論述する力を付けていく必要があります。

 

 

未来・解決志向ブリーフセラピーへの招待 タイムマシン心理療法

この本も事例問題にピンときていない人におすすめしたい本です。

心理療法の中で行われていることが、物語調で12事例も書かれており、Clの発言やThの発言意図や思考・感情などが書かれています。

すごく読みやすい本なので、「カウンセリングの中でこんなことが起きているのか~」ということを学ぶことができます。これから心理学やカウンセリングについて勉強を始める、という初学者にもおすすめです。

また、スクールカウンセラーの立場として書かれている事例が多いため、学校臨床を知る上でも有益です。

 

 

 

学校での子どもの危機への介入 事例から学ぶ子どもへの支援

学校臨床の事例対策の参考になる本です。

ASDの特別支援、発達障害が疑われる不登校生徒、性非行、児童虐待などの事例をもとに、多職種・他機関との連携や根拠となる法律・理論などが示されています。

事例問題の解答をする上での根拠の肉付けとなる要素や制度・法律などを学ぶことができるため、他の受験生との差をつけることができるかと思います。

 

 

スクールカウンセリングモデル100例

こちらも、学校臨床の事例対策の参考になる本です。

100の事例をもとに、スクールカウンセラーとしてどのように振舞い、支援を進めていくのかを具体的に読むことができます。記事執筆時点で第8版まで出版されており、長い期間、多くの臨床家に読まれている学校臨床のバイブル的な参考書です。

大学院受験の勉強を進めている人は、まだ現場に出たことのない人が多いと思います。そんな人が、学校臨床の現場をリアルに想像し、「こんな支援が必要なのだな」「こんな動きはやってはいけないのだな」と学ぶ助けになると思います。

第10章には「失敗例」の事例が丁寧に記載されています。枠や構造の大切さや、事例問題を解くときの禁忌なども学べると思います。

実際に臨床現場に出た後も長く読める本です。

 

 

 

臨床心理地域援助特論

放送大学教育振興会が出版している本です。大学院の教科書にも指定されているようでした。

地域援助やソーシャルサポートに対する対策はこの本を読んで勉強するのが近道かもしれません。教育・福祉・医療などの現場におけるコンサルテーション・コラボレーションの実際を学べるため、事例問題や地域援助に関する問題の対策になると思います。

 

 

心理学研究法 補訂版 心を見つめる科学のまなざし

心理学研究法の対策に使える本です。

この本に書かれている内容を抑えれば、過去問のかなりの範囲に対応できるように感じます。これから研究を始める初学者向けに書かれた本なので、比較的読みやすいと思います。

私も受験対策のときにかなり読み込んだ本です。研究法のメリット・デメリットやバイアスなどを丁寧に整理していく助けになると思います。

 

 

 

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もし受験するなら…?勉強方法を考えてみた

もし私が、放送大学の大学院を受験するのであれば、この順番で勉強していきます。

国立大学院に合格した筆者の心理学の勉強法の基本については、この記事で解説しているので、合わせて参考にしてください。

psychology-study.com

 

1 心理学・臨床心理学の用語を網羅的に勉強する

こちらのnoteで紹介している用語集を元に、それぞれの心理用語の定義や提唱者、近接領域の関係性などを理解していき、自分の言葉で説明できるようにします。

note.com

 

2 事例問題の対策

色んな事例を読んだり、ゼミや仲間で議論しながら知見を深めていくと良いと思います。

もし、心理学を学ぶ仲間がいるようだったら、事例問題を持ち寄って、「こんなときどうする?」というのを話し合ってみるのも良いと思います。

また、「赤本 公認心理師国試対策」の事例問題を解いてみるのも、事例問題の考え方を知る一手になると思います。(公認心理師試験対策にもなるので、一石二鳥です)

 

 

放送大学用の対策

過去問を見て、全ての過去問に対する回答を作成します。添削を依頼できる人が居れば、添削を依頼して、内容を確認してもらいます。過去問を見た感じでは、特に事例問題に関しては添削してもらいたいなと感じました。

慣れてきたら、色んな参考書を見ながら、学校臨床における事例を読んだり、自分で対応を考えてみたりする練習をしていきたいです。

 

なお、出題の傾向が大きく変わる可能性もあるため、児童期・思春期以外の事例が出されたときにも対応できるように幅広く対策しておきます。

 

 

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まとめ

今回は放送大学大学院の臨床心理学プログラムの過去問を見て、試験対策について考えてみました。

あくまでも筆者の一意見なので、鵜呑みにせずに、自分に合った学習方法を考えてみてください。

倍率がかなり高いため、合格までの道のりは簡単ではないかもしれません。少しでも参考になれば嬉しいです。

 

▶心理学の勉強法まとめ

psychology-study.com

 

もし、他の大学院の過去問分析についてもリクエストがあるようでしたら、お問い合わせフォームから連絡していただけたらと思います。

過去問の入手可能性などを考え、全てに応えられるかは分かりませんが、検討させてもらいます。有料note等で公開させていただく可能性もあります。

お問い合わせ - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

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