最終更新日:2022年7月5日
今回は、心理系大学院の研究計画書のテーマの決め方を、心理系大学院生の筆者が解説します。
大学院受験のために研究計画書のテーマを決めたいけど、「どのように研究テーマを決めるのか」「研究テーマのアイデアが浮かばない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
臨床心理学を専門とする場合、自分のやりたいことが自由に研究ができるわけではありません。(理由は記事内で解説します)
今回は公認心理師・臨床心理士を目指して、国立大学院に合格した筆者が、研究テーマの決め方や注意することをまとめました。
そのため、心理学の中でも臨床心理学系の大学院へ合格するための研究計画書のテーマの決め方になります。基礎心理学系の研究内容やテーマの決め方は、別の考え方になると思います。
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研究テーマを決める手順
研究ノートを作る
まずは、1冊のノートを用意します。自分の場合、アイデアが全くない、真っ白な状態からスタートしました。
研究ノートには、自分の興味のある臨床対象や内容を書き出したり、アイデアが思いついたらそれをメモするなどしていました。
心理学に関係する新書を読んだり、志望校や教授を探す過程で、「こんな研究も面白そう」「この分野のこれがもっと詳しく分かったらいいのに」などと思ったことを書き留め、いろいろと思考を膨らませていきました。
アイデアを出す
自分のやりたいテーマを考えるために、色々なアイデアを出していきました。
・印象に残っている出来事
・今の生活で困っていること
・人に言われて特にうれしかったor傷ついた言葉
・幼少期の思い出
・ニュースや本で印象に残っていること
・対人関係の悩み
・最近は人と話したことで気になったこと、印象に残っていること
など、ざっくばらんに書き出し、考えながらテーマを決めていきました。
研究アイデアは、散歩中やお風呂に入っている時など、心理学の勉強と関係ないことをしている時に浮かぶことが多かったです。息抜きも重要です。
先行研究を読む
ある程度のアイデアがまとまったら、先行研究を読み、少しずつ具体的にしていきました。
自分の興味・関心のあるキーワードを入力し、論文を検索しました。
論文の探し方はこちらにまとめました。
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研究室訪問をする
研究テーマが決まったら、必ず志望する指導教官の研究室訪問に行きましょう。
そして、「このテーマで研究の指導をしてもらえるか」について必ず質問することを推奨します。
入学後のミスマッチングを防ぐ意味でも、大変重要となります。
研究室訪問のやり方にはこちらにまとめました。
有識者に相談する
また、テーマや研究計画の案が出てきたら、心理学を学んでいる・心理学の研究をしたことがある先輩や先生、予備校講師などに相談するのがおすすめです。
初学者にはなかった視点で、色々と意見を貰えます。
自分は、通信制大学に通っており、ゼミに所属していなかったため、大学院受験の予備校の先生や、志望校の先輩に研究テーマや研究計画書を添削してもらっていました。
気を付けたこと
対象はだれ?
自分は、研究対象(被験者)を決めるときに、健康な大学生を対象とすることを前提に考えました。なぜなら、研究を行えるフィールドのコネクションがなかったからです。
下に詳しく書きますが、公認心理師・臨床心理士の資格を取る前の大学院の修士課程の段階では、患者さんを対象とする研究はできないと考えたほうがいいです。
子供を対象にしたい、○○の施設にいる人を対象にしたい、などと考えている人は、その対象に対して質問紙調査やインタビューをさせてもらえるだけのコネクションがあるのかを確認しましょう。
既に人間関係や信頼関係が構築されており、以前の職場にお願いできる、ボランティア先にお願いできるといった状況であれば、研究対象者として研究を行うことも可能になるかと思います。
大学院受験の面接で、健康な大学生以外を対象としている場合は、「その対象に対して研究は可能なのか、研究フィールドはあるのか」について必ず突っ込まれると考えておきましょう。
逆に「健康な大学生」を選んだ理由についても、自分の言葉で説明できるように考えておきましょう。
面接対策ついてはこちらにまとめました。
研究方法は?
どのように研究をするか、データを集めるか考えましょう。
アンケート用紙を配るのか、インタビューをするのか、何かしらの介入実験を行うのか、観察をするのかなど、心理学の研究方法はたくさんあります。
どんな研究方法があるかについては、「心理学研究法」について勉強することで学ぶことができます。
心理学の研究方法について学べる参考書はこちらにまとめました。
心理療法は使えない
最初に、臨床心理士・公認心理師の資格を持たない大学院生は基本的に「患者さんに対して心理療法は使えない」ことを頭に入れてテーマ選びをしましょう。
臨床心理系の大学院へ進学したからといって、いきなりうつ病の患者さんに認知行動療法ができるわけではありません。
倫理的にも大きな問題となりますし、この記事を読んでくれている大学院の受験生の方は、まだ心理療法を実際にやったことがない人が大半だと思います。
仮に自分が患者だったとして、公認心理師・臨床心理士の資格を持たない素人の心理療法を受けたいと思いますか?
そのほかの点でも、倫理的にも大きな問題が生じます。研究の再現性などの点でも問題になります。
そのため、心理療法を使わずにできる研究内容を考えることをおすすめします。
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倫理的に問題がないか
研究計画書を作成するうえで、倫理的に問題がないかについても重要なポイントとなります。この「研究倫理」に関しても、研究計画書を作成するために学ぶ必要のある事項の一つです。
研究倫理について分からない人は、いくつか参考書を読んだり、先輩に聞いたり予備校に通うなりして、学習することをお勧めします。
2年間で実現可能な計画を作る
大学院の2年間は、本当にあっという間です。臨床系の大学院だと、公認心理師・臨床心理士になるための実習や授業にたくさん時間を割かれます。
研究テーマを考えているとあれもこれもとどんどん壮大な計画になっていきますが、大学院で研究できる量は限られているため、2年間で実現できるかどうかについても確認しながら、研究テーマを決めたり、研究計画書を作成しましょう。
研究内容は変わってもいい
大学院の入学後、研究計画書に書いた内容と、大学院で実際に研究する内容は変わってもOKです。自分の通う大学院にも、入試時に提出した研究計画書と全く関係のない研究をしている人が多くいます。
心理学の勉強を進める過程で、興味のあるテーマが変わってくることもあります。
そのため、ある意味では「絶対にこの研究をするんだ…!!完璧な研究計画書を作成しなければ…!!」と深刻になりすぎずに研究テーマを考えていいと思います。
まとめ
今回は、研究計画書を作成する際のテーマ決めについてまとめました。
心理系大学院への進学を考えている人の場合、ある程度の制約の中で研究計画書を考えていく必要があります。
どんなテーマにするか、迷っている人も多いと思います。少しでもヒントになれば嬉しいです。
研究計画書作成のスケジュールはこちらにまとめてあります。
第一志望の国立大学院に合格した体験談は、こちらにまとめました。
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