最終更新日:2025年6月21日
投稿日:2025年3月28日
この記事では、臨床心理士試験の一次試験の筆記試験(択一問題)の勉強法や対策についてまとめます。筆者は、臨床心理士試験を一発合格しました。
情報収集や準備を開始したのは6月頃、勉強を始めたのは9月(1か月半前)、特に力を入れて対策したのは直前の2週間でした。
手ごたえとして、本番で8割程度は得点できたと思っています。(臨床心理士試験は、問題が持ち帰れないので自己採点できないのですが…)
人それぞれ、自分に合った勉強法があると思います。
このブログには、筆者なりの対策を書いています。これから受験する人の参考になると嬉しいです。
▶臨床心理士試験 おすすめ参考書
【合格者おすすめ】臨床心理士の一次試験(筆記・論文試験)対策におすすめの参考書・テキスト・過去問
▶二次試験(面接)の対策
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準備
臨床心理士試験を受ける年(大学院を卒業した年)の6月頃から徐々にアンテナを立て、情報収集をはじめました。
勉強に着手する前にやったことをまとめます。
なお、筆者は臨床心理士試験の半年前に公認心理師試験を受験していたため、ある程度の下地は残っている状態で学習を始めました。
勉強時間の確保、スケジューリング
最初に、「どれくらい前から勉強するべきか」「どの時期にどれくらい勉強時間が確保できそうか」というスケジュールを検討しました。
理解のある職場であれば、直前期にまとめて休んで試験対策をすることができます。有給休暇が使えるかなど、交渉してみるのもひとつの手です。
プライベートの予定や学会への参加スケジュールなどを加味したうえで、試験直前にどれくらい勉強時間が確保できそうかの見通しを立てました。
情報収集
大学院や職場の先輩から、臨床心理士試験対策について情報収集をしました。
使用したテキスト・過去問は何年分やったか・いつから勉強を始めたか、などを聞き、学習の見通しを立てました。
特に職場の先輩には、仕事と試験対策の両立について聞いておけると、仕事の忙しさや負担と勉強の両立の見通しが立てやすいと思います。
出願する
例年、6月頃から募集要項が販売され(なんと資料の取り寄せだけで2000円弱かかる)、7~8月が出願期間となっています。
大学院から各種証明書を発行してもらう必要があります。また、第二種大学院を修了した人は、職務経験を書いてもらう書類なども必要となります。
細々とした事務手続きをして、出願する時間と手間を捻出する必要があります。
出願に必要な書類は手書きが多く、それなりの負担がありました。
早めに宿・交通手段を抑えておく
東京への日帰りが厳しいエリアに住んでいる人は、日程が発表された時点で早めに宿や交通手段を予約することをおすすめします。
現在、宿が高騰しているため、早いタイミングで予約することで費用を少しでも抑えることができると思います。直前期だと、宿が満室…ということも都内ではよくあるため、要注意です。
まずは青本を買おう
この記事をどの時期に読んでくれているかによりますが、まずは青本を購入することをおすすめします。過去問は「赤本」と「青本」の2種類があります。
赤本には1年分の過去問が、青本には3年分の過去問が掲載されています。
赤本(昨年の過去問)は例年、受験する年の6~7月に発売されます。
そのため、まずは最新の青本を購入し、勉強を始められる体制を整えておくと安心です。
▶令和2~4年度 実施分の過去問
▶令和5年度 実施分の過去問
▶令和6年度 実施分の過去問(最新版)
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筆記試験の勉強法
臨床心理士試験の対策をネットで調べると「とにかく過去問をやれ!」と書いてある記事がほとんどです。
確かに過去問は大事です。筆者は7年分の過去問を4周やりました。
効率よく勉強するためにノートまとめなどは一切やらず、ひたすら過去問を通して問題演習を繰り返していました。
過去問を解く(1周目)
受験の1か月半前から過去問に着手しました。
問題に正答することより、出題傾向や問題の難易度、自分が特に対策する必要がある範囲をつかむためにやりました。
まとめて1年分解いてマル付けをするのではなく、
一問ずつ問題を読む
→自分なりにアタリをつける
→解答・解説を読む
→解説を読んでもよく分からない箇所や新しく知った単語に蛍光ラインを引く
といった手順で行いました。
このタイミングでは他のテキストや参考書は開かずに、とにかく苦手な範囲を炙り出すことだけを意識しました。
問題の隣に〇(完璧に回答できる)、△(正解はできたが、除外条件や問われている単語を正確に説明できない)、×(不正解、正解できても回答に自信が無い)の3つのマークを入れました。
正誤には一喜一憂せず、現状の理解度を把握するようにしました。
筆者は追い詰められないと頑張れないため、思ったより正答できない問題が多いことを自分に自覚させ、焦りの気持ちを出すことも目的のひとつとして取り組みました。
過去問を解く(2周目)
2周目の過去問演習では、正解を抽出するだけでなく、「不正解となる選択肢の理由を述べられるか」までを意識して行いました。
また、この時はテキストや参考書を隣に置き、分からない部分は調べながら問題演習を行いました。
主に使用したのは「一発合格!臨床心理士対策テキスト&予想問題集」です。
このテキストは、臨床心理士試験の出題内容を分析したうえで作られている参考書で、臨床心理士試験に照準を当てた対策本であることが分かるような内容となっています。
論文や面接対策についても書かれているので1冊でかなりの広範囲をカバーできます。
また、自宅にある他の参考書を引っ張り出してきたり、インターネットで調べたりしながら、選択肢ひとつひとつが「なぜ正解なのか」「なぜ不正解なのか」を説明できるようにしていきました。
ただ、あまり馴染みのない領域の問題や「はじめて知った!」「調べてもあまりヒットしない」という内容はあまり深掘りせずに、サクサク進めていくようにしました。
過去問を解く(3・4周目)
3周目は受験の3日前、4周目は受験の前日に行いました。
3周目になっても×や△がつく問題には付箋を貼り、直前に確認できるようにしました。
この細いタイプの付箋は今までの受験勉強でもかなり重宝しています。
3周目になると、自分の苦手な範囲や問題が分かってきます。また、回答を覚えてしまっている問題も増えてきますが、気にせずに進めていきます。
繰り返しやっても意味が覚えられない単語を書き出して、暇な時間に見返して「○○の意味は確か~~~だよな」と確認していました。
時間と手間がかかるので、紙に書き出すのは単語のみだけで、意味などは一切記載しませんでした。
4周目は自分に自信をつけるために、繰り返し間違えている問題だけを解き「最初は解けなかったけど、今は解けるようになったもんね~」と自分の気持ちを高めていきました。
過去問4周目では正答率はほぼ100%の水準となりました。
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対策のポイント
ここからは、試験対策をしながら考えたことを書いていきます。
筆者が特に対策に時間をかけたのは「検査の解釈」と「司法の法律」の2つです。
得意・不得意によっては、「研究法・統計」や「基礎心理学」に時間をかける必要のある人もいると思います。
人によって、苦手な領域、再度勉強が必要な領域は異なると思います。まずは過去問を解くことで苦手な領域を把握することが大切です。
心理検査の解釈
臨床心理士試験の大きな特徴は検査の解釈が出る点です。公認心理師試験より深く問われるので、対策が必要です。
特に、ロールシャッハ・WISC・WAIS・P-Fスタディ・MMPIなどは数値が提示され、そこから分かることを解釈して、問題に答える必要があります。暗記しないといけないこともあるため、対策には時間がかかります。
日常的に検査を取る業務をしている人は、勉強しなくても回答できる問題が多いと思います。
自分が業務でよく使う、馴染んでいる検査が多いのか、あまり検査は取らない業務なのかを考えた上で、対策を始められると良いと思います。
各検査の解釈を学ぶために使用した参考書はこちらの記事にまとめました。
【合格者おすすめ】臨床心理士の一次試験(筆記・論文試験)対策におすすめの参考書
心理検査の手順、概要
解釈だけでなく、各心理検査の手順や解答用紙を理解していないと解けない問題も出ます。
大学院時代や社会人になってからどれだけ検査に触れているかが大切になると感じました。
この記事を読んでいる人が大学院生であれば、検査に好きなだけ触れる環境にいるうちに触っておけると良いと思います。
司法系の法律
臨床心理士試験では法律も出題されますが、過去問を解いた感じでは、特に司法系の法律は出題頻度が多い印象です。
ただ、成人年齢の引き下げや法律改正などで、過去問の解説が間違っている可能性があります。
古い過去問を解く場合は、解説を鵜呑みにせずに、最新の法律に照らし合わせる必要があります。
筆者は、公認心理師試験のテキストを利用して司法の法律を抑えました。個人的には、赤本2024がよくまとまっているので、重宝していました。(赤本2025は、赤本2024と比較して、ボリュームがかなり減っているので、内容を確認してから購入することをおすすめします)
基礎心理学
基礎心理学の範囲も結構出題されます。知らない用語や概念も出てきました。
知らなすぎる・難しすぎるものは適度にスルーしていく(深追いしすぎない)ことが大切だと考えながら対策をしました。
また、人名と提唱した概念の組み合わせを問う問題もあります。人名は全て英語表記のみです。早い段階から英語表記に馴染んでおくことも大切です。
心理統計学
苦手な人が多い分野だと思います。完全に捨てるのはもったいないと、個人的には考えています。
合格後に見つけたのですが、統計法にフォーカスした「苦手な人のための公認心理師試験の心理統計」という参考書がありました。
試験に出る内容にフォーカスされており、薄いので、直前期で時間が無い中でも効率よく勉強を進められます。
全部で86ページと、薄くコンパクトにまとまっているので「購入したけど最後まで読み終わらなかった…」という悲しみにならず、「やった!全部読んで理解できたぞ!」という水準にもっていける可能性が高い参考書です。
時事・トレンド問題
最新の臨床心理士業界の動向が出題される問題もありました。
日常的にニュースや統計の情報にも幅広くアンテナを立てておく必要があると感じます。
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まとめ
今回は、臨床心理士試験の一次試験の対策や勉強法のポイントについて、筆者なりの勉強法を紹介しました。
受験する時期は大学院を修了した後の秋になります。
仕事をしながら試験対策を進める必要があるため、短期間で合格水準まで持っていくことが求められます。
効率的かつポイントを押さえて学習を進め、合格できることを応援しています。
▶筆者が使った参考書
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