大学院受験に向けて心理学の勉強をしている人の中には「どの水準まで勉強したらいいのか」「どれくらいの範囲をカバーしたらいいのか」など、疑問に思う人もいると思います。
自分もその中の一人でした。
今回は、「どこまで心理学の勉強をするべきか」ということを、第一志望の国立大学院に合格した筆者が体験談や反省を踏まえて、「もしこれから受験勉強をするなら、この範囲までカバーできるように勉強する」という勉強計画を考えてみます。
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大学院の受験勉強って難しい
心理系大学院の受験勉強における「心理学」の範囲はキリがありません。一言に心理学といっても、臨床心理学、基礎心理学にはじまり、心理検査、精神疾患、アセスメント、心理療法、認知行動療法…と、細かく分解していくことができます。
最初に勉強を始めた時は「いったい何から手を付けたらいいの?」「どの範囲までやったらいいの?」と疑問に思い、勉強を進める中で「いくら勉強しても、足りないと思う」「心理学の勉強ってキリがない」と不安を抱きながら勉強していました。
大学院受験は、大学受験みたいに偏差値があるわけでもないし、公認心理師試験みたいに模試が実施されるわけでもありません。具体的な数字や先が見えない中で、勉強を進めていくのは本当に難しいと思います。少しでもヒントになれば嬉しいです。
目標を定める
過去問研究をする
受験校を決めたら、過去問分析をしましょう。
大学院の情報を集め「大学院の難易度」「出題されやすい範囲」「出題されない範囲」を把握します。
もちろん、大学院の難易度によって、求められる心理学の知識は異なります。
今回は日本中の人が大学名を知っていると思われる「難関国立大学院」の合格に照準を合わせた勉強法を考えてみます。
また「出題されやすい範囲」と「出題されない範囲」を把握し、出題されやすい範囲から勉強を開始します。本当は全範囲を網羅したほうがいいのですが、時間が限られているので取捨選択が必要です。
臨床心理学系のコースの場合、臨床心理学のみの知識が求められる大学院や、社会心理学などの基礎心理学系の知識が求められる大学院があるなど、大学院によって出題傾向は様々です。
臨床心理学の知識の中でも、精神分析に特化していたり、毎年必ず認知行動療法の問題が出題される大学院など、出題傾向は様々です。出題傾向によって、力を入れる範囲が変わります。
過去問研究の方法はこちらにまとめました。
照準を定める
心理学の用語は膨大で、勉強をはじめようとしてもどこから手を付けたらいいか混乱する人も多いと思います。
主軸の参考書を1冊決める
まずは、「この参考書に出てくる範囲は全てカバーする」という目標を立て、使用する参考書を1冊決めます。
自分が受験生だったら、これから紹介する2冊のうち、どちらかを「主軸」の参考書とします。
・公認心理師・臨床心理士 大学院対策 鉄則10&キーワード100 心理学編 講談社
心理学初学者~中堅大学院を狙う場合は、まずはこの参考書の範囲をカバーすることを目標にします。
基礎心理学と臨床心理学の範囲に分かれているため、臨床心理学系のコースの合格を目指す場合、「臨床心理学」の範囲から手を付けます。
・心理系大学院入試&臨床心理士試験のための心理学標準テキスト 秀和システム
難関大学院を目指す場合は、この参考書に出てくる範囲をカバーすることを目標にします。
上の参考書よりかなり広く臨床心理学の範囲が網羅されています。
実際に自分は、この参考書の内容に主軸を置いて勉強し、国立大学院に合格することができました。
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参考書を3冊以上用意する
主軸となる参考書を決めたら、その参考書では不足している内容をカバーするために、参考書を3冊以上用意します。
心理学の受験対策に使用した参考書はこちらにまとめました。
用語のまとめをする中で、複数の参考書を広げながら内容を拾っていきます。
しかし、主軸においた参考書から脱線しすぎないように注意しながら勉強を進めます。
用語のまとめノートの作成方法はこちらにまとめました。
志望校に特化した対策をする
主軸の参考書の勉強が一通り終わったら、志望校対策に特化した対策をします。
過去問に出てくる用語
過去問を解き、過去問で問われる用語を確認します。今までに手を付けていない範囲の用語だった場合、その用語を調べ、周辺知識を入れていきます。
そこから広げる
例えば過去問で「合理化」という用語説明が出題されていた場合、
「合理化は『防衛機制』の一つだ、防衛機制はほかに何があっただろう?防衛機制には、退行、知性化、否認、理想化など色々あるな…、病態水準では水準の低い防衛機制と高い防衛機制があったはず、病態水準の関係をもう一度整理しよう」
など1つの用語からどんどん広げていくことができます。
過去に勉強した知識や、手元にある参考書を活用して、過去問で出題された用語の知識を少しずつ広げていくと、より志望校に特化した対策になると思います。
教授の専門分野を調べる
過去問研究をする中で、教授の専門分野から出題された問題が多い場合、教授の専門分野や最近執筆した論文の内容に目を通し、そこに出てくる用語の周辺知識を勉強することも重要です。
シラバスを見て、教授の使用している教科書を読んでみる
また、より志望校に特化した対策をしたい場合、志望校の学部のシラバスを確認し、その大学の学生が使用している教科書をチェックしてみましょう。
内部生が使用している教科書と同じ教科書を使って勉強することで、志望校の先生の好みや傾向がつかめるかもしれません。
公認心理師試験の範囲もチェック
臨床心理士だけでなく、公認心理師の資格が取れる大学院の場合、出題傾向が公認心理師試験寄りになっている場合もあります。(臨床心理士試験と公認心理師試験で必要とされる用語に少し違いがあるのではないかと思っています)
手元に公認心理師向けの参考書を1冊置き、その本も参考にしながら勉強を進めるのもおすすめです。(ついでに公認心理師試験対策になるので一石二鳥です)
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やっぱり不安
出題されない範囲はやらない
試験の残り時間がない場合、過去に出題されたことのない範囲については、思い切って捨ててしまうのも一つの案だと思います。(とはいえ突然出題範囲が変更されることもあるので、危険でリスクが高いことも頭に入れておきましょう)
インプットだけでなく、アウトプットの練習をすることも大事です。インプットだけに時間を割くのであれば、範囲を絞ってアウトプットの練習に時間を使うことも重要です。
「全部網羅できてない、時間が足りないと思うことができた人は勉強してる証拠」
とある大学院の説明会で聞いた、印象に残っている先輩の言葉です。
勉強をすればするほど「あれも足りない、この範囲も勉強できていない…」と次々に勉強が足りない範囲が出てきます。
でも、勉強をしていない人は「勉強量が足りない、網羅している範囲が少ない」と思うこともありません。だって心理学の勉強をしていないから。
受験する日までに「完璧」にすることは物理的に不可能なので、「今ある知識量で最大限戦う」という考えを頭の片隅に置いておくのもいいと思います。
まとめ
今回は、心理学の勉強をどこまでやるか?という課題について考えてみました。
心理学の勉強範囲は、広すぎて本当にキリがないので、ある程度のところで見切りをつけて、どんどん先に進んでいくことも重要だと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
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