この記事では、公認心理師・臨床心理士を目指すために心理系大学院へ進学することを検討している社会人向けに、「社会人入試制度」について解説します。
心理系大学院の入試では、社会人経験者を対象に「社会人入試制度」を取り入れている大学院もあります。
筆者は、社会人から心理系大学院へ進学しました。入試は一般入試で受験しましたが、大学院を調べる中で「社会人入試制度」についても情報を集めていました。
社会人入試枠の調べ方や、社会人入試を受けるときに注意するべきこと、合格率などの分析方法などについて解説します。
大学院探しや入試対策の参考にしてもらえると幸いです。
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社会人入試枠とは?
社会人経験のある受験生を対象とした入試制度
大学院の受験では「一般入試」と「社会人入試」の2つの受験制度がある大学院があります。
心理系大学院の入試には「筆記試験」と「面接」が実施される場合がほとんどです。
対策として、「英語」「心理学」「研究計画書」の3つに取り組んでいく必要がありますが、社会人入試ではいくつかの筆記試験が免除になる場合があります。
(筆者調べの中では英語試験が免除になる大学院が多かったような印象です)
忙しい社会人の場合、受験対策に時間を割くのが難しい人もいると思います。
入試で必要な科目が減ることで、入試へのハードルが低くなることも考えられます。
社会人が大学院受験をする時に気を付けること、注意するべきポイントについてはこちらの記事にまとめています。
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どうやって調べる?
募集要項でチェック
興味のある大学院のHPから、入試の募集要項をチェックしてみてください。募集要項の中に、社会人入試枠がある大学院の場合、条件などが書かれています。
条件は大学院によって細かく異なるため、きちんと目を通すことをおすすめします。
チェックするべき点については、以下で解説します。
調べるときに注意すること
心理学コースと臨床心理学コースの違いを要チェック
大学院の中には、公認心理師・臨床心理士の資格取得を目指す「臨床心理学コース」と基礎心理学を中心に研究する「心理学コース」の2つの専攻・コースがある大学院もあります。(名称は大学院によって異なります)
大学院によっては「心理学コース」は社会人入試に対応しているけど、「臨床心理学コース」は社会人入試に対応していない場合もあります。
筆者も受験時に調べる中で「やった、社会人入試枠あるじゃん!」と思って喜んだあとに、よく読んだら臨床心理学コースは対応していなかった…というケースが何度かありました。
自分の進学したい専攻名やコース名をきちんと確認して、社会人入試枠が本当に実施されているかをよく確認することをおすすめします。
「社会人」としての条件
「社会人入試枠」に該当する条件も、大学院によって大きく異なります。
「一般企業や公務員としての勤務経験が〇年以上(3年、5年など)」という条件の大学院もありますが、「”対人援助職”や”教員”、”医療関係者”としての勤務経験が〇年以上」という条件の大学院もあります。
現在の仕事が心理職や対人援助職と近い領域で働いている人なのか、一般企業などで心理職と全然関係ない仕事をしている人なのかによって、条件を満たすかが変わってくると思います。
筆者は、心理職とは全く関係ない領域からの大学院進学だったため、該当する社会人入試枠が少なかったように思います。自分の過去のキャリアや職務歴と合致するかを、情報収集する中で調べていくのがおすすめです。
また、自分の経歴が社会人入試枠に合致するか不明な場合は、大学の入試課などに問い合わせてみると良いと思います。
今はメールで対応してくれる大学も多いため、遠方の人や日中は仕事をしている人でもコンタクトが取りやすい環境が整ってきていると思います。
社会人入試の合格率
社会人入試の制度はあっても、受験者が毎年0人だったり、受験者がいても合格者が0人の年もあるなど、社会人入試枠からの合格実績がほとんどない大学院も存在します。
実積率が著しく低い大学院は、一般入試で受験したほうが、合格可能性が高い場合もあるかな~と個人的には考えています。
大学院によっては公式ウェブサイトで社会人入試枠の合格率や実績が公開されているところもあるので、そちらを確認するのがおすすめです。
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受験するときの対策
以下は、社会人入試枠で受験する場合の対策案をまとめたものです。
もし自分が社会人入試枠で受験するなら、こんなことをするかな、という内容を考えてみました。
大学院説明会で社会人入試枠から合格した人がいるか質問
大学院説明会に参加して、「社会人経験者がいるか?」「今在籍している院生の中に、社会人入試枠から合格した人はいるか?(10年前にはいたけど、ここ数年はいません、という場合もある)」などを質問しておくことをおすすめします。
大学院説明会では、院生と話せる時間を作ってくれるところもあるので、もし社会人経験者の人が居たら、積極的に話を聞く機会を求めるもの良いと思います。
2024年度の大学院説明会の日程はこちらの記事にまとめています。
研究室訪問で先生と会っておく
あらかじめ自分の人となりを知ってもらうこと、先生との相性を確認するために研究室訪問に行くことを強くおすすめします。
(このサイトでは研究室訪問を推奨していますが、社会人経験者や社会人入試枠を活用する人は特に行っておいた方が良いと考えています)
社会人入試枠の場合、筆記試験が免除されているため、面接や経歴、研究計画書の情報から判断されることが考えられます。そのため、志望校や教員の方針と自分のやりたいことの合致度などを検討し、入試の書類や面接でアピールすることが合格への近道になると思います。
研究室訪問のやり方はこちらの記事にまとめています。
社会人入試で合格した人に話が聞けると良い
欲を言えば、志望校に社会人入試枠で合格した先輩から直接話を聞けるのが一番いいと思います。面接で聞かれた内容や対策したこと、合格する人の傾向など、色々と情報を入手できればそれだけ対策がしやすくなります。
大学院によっては大学院説明会で現役の院生と交流する時間が取られている場合もあります。
また、研究室訪問のアポを取る際に「院生と話をさせてもらうことは可能でしょうか?」と問い合わせてみるものひとつの方法です。
気を利かせてくれる先生の場合、院生と話をさせてもらえることもできるかもしれません。(私も、研究室訪問に来た学生さんや社会人の方と何度もお話をさせてもらいました)
筆記試験が免除されるからといって、英語の知識が不要となるわけではない
受験校によっては英語や心理学の筆記試験が免除される大学院もあると思います。だからといって、英語や心理学の勉強をしなくても、大学院での学習についていける、というわけではありません。
大学院の授業では英語の文献を読んだり、修士論文では英語の先行研究を読んでまとめていく作業も必要になります。今は技術が進んでいるため、翻訳ツールなどの活用もできますが、英語や心理学の基礎的な力は必要になる場面が多い、ということは頭に入れておくことをおすすめします。
逆に、心理学や英語の筆記試験が免除されているということは、今までの経歴や面接が重視されるということです。そちらの対策は十分にしていくことが求められると考えたほうがいいと思っています。
心理学についてはどこまで知っているか?を面接内で質問されることも想定したほうが無難かなと感じます。
また、社会人から心理系大学院への進学を考えるうえで「公認心理師・臨床心理士」の働き方をイメージしておくのも、受験や面接対策のひとつになります。
こちらの本では、心理職の仕事と私生活との両立についていろいろな若手心理職の人のエピソードを読むことができます。
社会人経験をした後に心理職を目指して大学へ進学した方の章では、仕事と両立しながら受験勉強をしたエピソードや苦労話も読めるため、力をもらえると思います。
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まとめ
今回は、心理系大学院の社会人入試制度についてまとめました。
「どんなことに気を付けるべきか」「どうやって情報収集をするか」といった観点から少しでも整理のお手伝いができれば嬉しいです。
公認心理師・臨床心理を目指すために大学院へ進学する場合、大切なポイントが色々とあります。心理系大学院を探す時、志望校を選んだ基準や重視したポイントについて、大学院生活の体験談を交えて解説している記事がこちらです。
また、心理系大学院の生活実態や忙しさ、1日のスケジュールについては、こちらのマガジンにまとめているので、興味のある方はチェックしてください。
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