最終更新日:2024年1月31日
投稿日:2024年1月31日
この記事では、社会人から臨床心理士・公認心理師を目指すために心理系大学院へ進学した筆者が、「子育てと大学院生活は両立できるのか」「実習との両立はどれくらい大変か」について考察してみます。
この記事を読んでいる方の中には子育てをしながら、臨床心理士・公認心理師になりたいと考えている人もいると思います。
子育てと大学院生活の両立と、大学院を選ぶときに気を付けたほうが良いこと、大学院進学を目指すにあたり、まずやるべきことについて解説します。
個人の状況や大学院・指導教員の理解によって育児との両立のしやすさは異なります。あくまでも筆者の主観であり、個人の意見であることを理解した上で、読み進めてもらえると幸いです。
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子育てと大学院生活は両立できるのか?
子育てと心理系大学院の両立は不可能ではない
結論から伝えると「子育てと大学院生活の両立は不可能ではない」です。筆者の知り合いにも数名、未就学児から小学生・中学生・高校生を育てながら実際に大学院を卒業し、公認心理師・臨床心理士になっている人が居ます。
ただし、大学卒業後ストレートで進学してくる学生と比べると大変な点・苦労する点があるのも事実かと思います。
また、指導教員・大学院・実習先などの理解が不可欠になるので、子育てとの両立に理解がある環境や大学院を選ぶ必要があるでしょう。
子育てしながら大学院へ通う時に大変なこと
時間の確保
子育てをしながら大学院へ通う人が一番大変だと思われるのが「時間の確保」だと思います。心理系大学院の場合、授業の他に外部実習や修士論文の執筆など、色々とやることがあります。定期的なSVを受けたり、ミーティングを行ったり、かなり時間が取られる印象です。それに加えて、自分の作業や勉強時間も確保しておく必要があります。
子育てをしている人は、家事や子どもの送り迎え、授業参観など色々とやることがあると思います。学部からストレートで進学してくる学生と日常的なルーティンに必要な時間と、大学院の勉強にかけられる時間のギャップがあり、大変だと感じることは多いと思われます。
突発的な体調不良対応
子育てをしていると、突然子供が熱を出したり、体調不良となり保育園から呼び出しがかかる!といったことはよくあると思います。大学院の実習では実際にカウンセリングを担当することにもなりますが、クライアントさんという「相手」がいる中で、突発的な体調不良対応をしなければならないとなると、色々と苦労する点もあると思います。
とはいえ、どのような仕事をしていても子育てをしていたら体調不良対応も出てきますし、それは臨床心理士・公認心理師になってからも続いていくので、折り合いをつけながら乗り越えていくしかないのかなと個人的には思います。ただ、慣れない実習先などで急な休みや早退をすることによるストレスを感じる場面はあるかもしれません。
体力と睡眠時間
上で紹介した「時間の確保」と重なる点もありますが、体力はかなり必要になるかと思います。日常のルーティンと大学院生活のタスクをこなす中で、睡眠時間を削りながら乗り越える必要が出てくる場面がある可能性は高いです。筆者は睡眠時間の確保は必須な体質なので、睡眠不足にならないように計画的にタスクをこなしていました。子育て中の人は深夜・早朝などに作業時間を確保している印象が強いです。
必要なこと、やりたいことの取捨選択
大学院では魅力的な実習プログラムがあったり、研修会に安く参加できたり、ボランティア・アルバイトなど臨床経験が積める機会がたくさんあります。「あれもこれも」と手を出していくと、自分の時間が足りなくなってしまうのですが(筆者の体験)、子育て中で使える時間が限られると「このお誘いも受けたかったけど、時間が足りないから断ろう…」となる場面もあるかもしれません。自分のキャパシティを見極めながら「なにに」「どれくらい」時間とリソースを使うのかを考え、取捨選択していく必要があります。
土日や平日夜に実習や授業があることも
大学院によっては土日や平日夜に実習や授業がある場合もあります。家庭の事情によって、大学院の活動や実習に使える時間帯は変わってくると思うので、受験前に大学院へ確認することをおすすめします。
以上のような理由から、家族や周囲の理解を得ること、協力体制を作っていくことは必要不可欠になると感じます。
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子育てしながら大学院へ通うことのメリット・強み
私が子育てをしながら公認心理師・臨床心理士の資格を取った人と関わる中で感じた「子育てをしながら大学院へ通うことのメリット・強み」をまとめます。
子どもや発達に対する実体験と理解の深さ
もちろん子どもによって個人差があるので、必ずしも当てはまるわけではありませんが、発達や子どもに関する臨床の授業や実習で、実体験に基づく語りを聞くときは「すごいなぁ」と思う場面がいくつもありました。子育てをしないと分からないこと、子育てをしているからこそできる・分かることがあるのは間違いなく強みだと思います。
尋常じゃないパワーや信念、意欲、行動力を感じる
子育てをしながら臨床心理士や公認心理師を目指すためには大学へ行き、その後大学院受験をし、合格し、大学院へ通う必要があります。そこまでの行動力・計画力・実行力や努力を考えると、とんでもないパワーや信念を感じます。
筆者としては、社会人から大学院を目指すだけでも苦労が多くあったので、さらに子育てもプラスされるとなると、乗り越えてきたものの大きさとそれだけの強さがあるなと思います。
人生経験が活きる
心理職は、就職、結婚、妊娠、出産、子育てなどの人生経験が活きる仕事です。今までの人生経験において、なにひとつ無駄なことはなかったなと、心理職になるトレーニングを受ける中で感じました。人生経験が豊富なほど、活躍できる場面や臨床に活きる場面が増えていくのではないかと思います。(もちろん、自分の経験と相談者さんの経験を臨床場面では分けて考える必要がありますが…)
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大学院進学のためにやること
公認心理師・臨床心理士を目指したいと考えている人が最初にやることを解説します。
まずは志望校を決めるための情報収集
なにはともあれ、志望校を決めるために情報が必要です。
インターネット上に落ちている情報はごくわずかなので、情報を集めるために「大学院説明会」へ参加したり、「研究室訪問」をする必要があります。
大学院説明会の日程はこちらにまとめています。
大学院の選び方は別記事にまとめてあるので、詳細は下記記事を確認してください。
大学院を選ぶときに注意すること
大学院説明会や研究室訪問時に「子育てと両立して卒業した人が過去にいるか」ということを質問して確認しておくことをおすすめします。
また、直近で大学院説明会が開催されていなかったり、研究室訪問が難しい場合は、大学の事務局へ問い合わせたら答えてくれることもあると思います。
さらに「授業終わりの時間」についても確認しておくと良いと思います。保育園や学童の子どもの送迎時間と授業終わりの時間、家からの移動時間などを計算することで、「実際に大学院生活が送れるか?」が検討しやすくなります。
授業の時間はシラバスを見ると確認できます。大学によってはネット上で公開されているので調べてみる価値があると思います。
毎年時間割は変わる可能性がありますが、大体の授業開講曜日や時間帯を把握することで、大学院生活がイメージできるかもしれません。
長期履修制度を検討する
やっぱり大学院へ進学して2年で卒業するのは難しいかも…と思った人は長期履修制度の利用を検討してみるのもひとつの手です。大学院によって制度や運用状況が異なるので各自情報を集めてみてください。通常2年で卒業するところを3年かけてじっくり単位を取って卒業する、といったことも可能になるかと思います。
英語・心理学の勉強と研究計画書の作成
志望校を探しつつ、受験対策も行う必要があります。まずは「英語」「心理学」の勉強と「研究計画書」の作成が優先です。
特に英語は受験生の間で差がつくため早めに対策を始めるのがおすすめです。「大学院進学を目指している」と言った人に「まずはこれを買って!」と伝えているのが、こちらの「心理院単」です。院試では心理学の英語論文を読む必要があり、心理学の専門用語を英単語で覚えておく必要があります。覚えている単語数は多ければ多いほどいいので、最初に勉強をはじめるのであれば、こちらから取り組んでみてください。
また、難関国立大学院に合格した筆者が受験対策で使用した参考書や勉強方法はこのサイト内にまとめているので、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。★
▶難関国立大学院へ合格した心理学の勉強法
▶参考書まとめ
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まとめ
大学院生活は忙しく大変ですが、その分充実しており、楽しいことも沢山あります。子育てをしながら心理職を目指す人を応援できたら嬉しいです。
社会人から心理系大学院へ進学して苦労したこと、よかったことの「ぶっちゃけトーク」としてまとめた記事はこちらです。
1週間のスケジュールやお金事情など、リアルな大学院生活についてまとめたマガジンはこちらです。よければチェックしてみてください。
このサイトは社会人から公認心理師・臨床心理士を目指して大学院に進学した筆者が、大学院の受験情報や勉強方法、心理職のキャリアについてまとめています。
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