通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

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社会人から臨床心理士を目指す人の大学院の選び方

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最終更新日:2024年9月25日

投稿日:2023年10月9日

 

社会人から臨床心理士を目指すために心理系大学院への進学を検討している人向けに、大学院の選び方や進路の考え方についてまとめます。

筆者は、実際に社会人から臨床心理士公認心理師を目指すために大学院へ進学した経験者です。

 

この記事を読むことで、大学院進学を決めるまでに考えること、実際の大学院の選び方、仕事との両立、受験対策などについて知ることができます。

大学院の実態は、学校ごとに大きく異なります。あくまでも筆者の一意見・個人的体験に基づく内容であることを理解した上で読み進めてください。

 

 

 

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大学院受験の前に考えること

公認心理師の資格も取得するのか

まず最初に考えることは「臨床心理士」のみの資格でいいのか、「公認心理師臨床心理士」の両方の資格が欲しいのか、ということです。

臨床心理士」のみの資格でいい人は、「臨床心理士指定大学院」へ進学し、指定の単位を取得することで受験資格が得られます。

公認心理師臨床心理士」の両方の資格が欲しい方は、原則大学4年+大学院2年の合計6年間、大学で学ぶ必要があります。

既に大卒資格を取得している方は、大学へ3年次編入し、2年間で大学の学部の単位を取得し、その後大学院へ進学する方法もあります。

 

筆者は、既に他大学を卒業していたため、通信制大学へ3年次編入し、その後大学院へ進学しました。通信制大学の選び方はこちらの記事にまとめました。

【卒業生口コミ】社会人から公認心理師を目指す人向けの通信制大学の選び方【通信大学の比較】【放送大学・聖徳大学・京都橘大学・東京福祉大学】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

今後心理職として「臨床心理士」のみの資格でいいのか、「公認心理師」の資格も取得するべきなのかは、賛否両論、色々な意見があるのでこの記事では言及しません。

筆者が「公認心理師」の資格を取るか迷った時の体験談や、実際に就活を経験した後の感想などはこちらの記事にまとめています。

note.com

 

いつ受験して、いつ大学院へ進学するのか

続いて、受験の時期と大学院進学の時期を考えます。大学院は「夏・秋受験」と「冬受験」の2つの時期に分かれます。いずれも、学部4年生の時期に受験します。ライバルは現役の大学4年生が中心です。

大学院によって、「前期」「後期」と2回受験のチャンスがある大学院と、1回のみの受験のチャンスがある大学院があります。

受験時期によって学習計画や仕事を退職する時期など、ライフプランを含めて考えていく必要があります。

 

仕事について

大学院生活の2年間は授業・実習・研究と非常に忙しい生活になります。

実際、筆者は忙しい時期は週5~6日、大学もしくは実習先に行く生活をしていました。(フルタイムで働いていた時より、大学院生活の方が忙しかったです)

少なくとも、週5フルタイム勤務と、心理系大学院の学生の両立は難しいと考えたほうが良いです。

社会人と心理系大学院は両立できるのか?について詳しい情報はこちらの記事にまとめています。

【体験談】社会人と心理系大学院の両立はできるのか【公認心理師・臨床心理士】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

お金のこと

社会人が大学院進学を考えたときに、課題になるのは金銭面だと思います。

少なくとも学費+αのお金が2年間の間でかかります。大学院時代にかかる出費についてはこちらの記事を読んでください。

心理系大学院生のお金事情【支出・収入】|やま@心理系大学院生

 

社会人経験者の場合、貯金・アルバイト・奨学金などで生活費や学費を賄っているようです。

アルバイトができるかできないか、どの程度できるのかという点に関しては、大学院や指導教員によって実態が大きく異なるため、事前に説明会や研究室訪問を通して、情報収集をしておくのがおすすめです。

 

奨学金に関しては、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金がまず候補にあがります。

独立行政法人日本学生支援機構 | JASSO

 

また、最近は社会人から大学院へ進学した人向けの奨学金制度が新設される動きもあるようです。

例えば、こちらの「ライフシフト奨学金の場合、社会人経験が3年以上ある人を対象に、月額6万円を2年間支給してくれるようです。(2024年2月時点・大学院の指定等あり)

ライフシフト|公益財団法人 北野生涯教育振興会

このような奨学金を狙っていくのも戦略のひとつになりそうです。(個人的には、社会人からのキャリアチェンジやリカレント教育を推奨してくれる流れが大きくなると嬉しいと思っています)

 

 

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大学院の選び方

大学院を選ぶときの視点についてまとめました。

大学院の探し方の流れはこちらの記事でより詳しく解説しています。

心理系大学院の志望校の探し方まとめ【外部受験】

 

社会人経験者の合格実績

大学院によって、社会人経験者の在籍率が大きく異なります。ほとんど現役の大学生しか進学していない(合格していない)大学院と、社会人経験者が数割~5割以上在籍している大学院もあります。

大学院によって、社会人経験者との親和性が大きく異なるため、「そもそも合格可能性があるのか」を事前に十分情報収集しておく必要があります。

大学院によっては、合格実績の中に、男女比や社会人経験者の内訳が開示されているところもあるので調べてみてください。合格実績はHPや大学院説明会で公開されている大学院が多い印象です。

 

研究テーマと指導教員

続いて大事になるのが、修論で研究したい「研究テーマ」と指導教員です。

大学院では臨床の実習だけでなく、研究をして修士論文を執筆する必要があります。テーマを自分で決めて、研究を進めていくのですが、指導教員によって指導できる研究のテーマや方針が大きく異なります。

自分のやりたい研究内容を考え、近い研究をしている先生を探していくのが王道かと思います。

 

現実的な問題(通学時間・拘束時間の長さなど)

行きたい理想の大学院があっても、現実的に遠方・金銭的な面等で難しい場合も多々あると思います。通学時間や拘束時間の長さ、家庭がある人は家庭との両立などの実現可能性を考えていく必要があります。

大学院によっても、拘束時間や実習の時間の長さ、大変さなどは大きく異なるため、研究室訪問などで情報収集・相談をしてみるのがおすすめです。

 

子育て中の方は、「子育てと両立している大学院生はいるか?」といった質問を説明会などでしてみるといいと思います。

保育園や学校のお迎えとの兼ね合いや、託児サービス、オンライン対応など柔軟にやってくれる大学院や先生がいるところだと、より大学院生活と実生活の両立が可能かと思います。

子育てとの両立可能性については、こちらの記事で解説しています。

【育児と大学院の両立】子育てしながら臨床心理士・公認心理師は目指せるのか? - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

その他

大学院を選ぶポイントは他にもいろいろあるので、この記事では全て書ききれません。

興味のある臨床群や、実習体制、「臨床」と「研究」のどちらを重視するか、指導教員との相性、博士進学の実態、就活、入試難易度などについて、実際の大学院生活を経験したエピソード付きでまとめた記事があるので、参考にしてください。

心理系大学院を探すときに重視したポイント【公認心理師・臨床心理士】|やま@心理系大学院生

 

 

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受験を決めた人がやること

大学院の情報収集と志望校決定

大学院の情報収集をする方法としては「大学院のHP」「大学院説明会」「研究室訪問」「知人の紹介」「SNSなど」「予備校」などがあります。

基本的な情報は「大学院のHP」で、大学の場所や入試要項、在籍している先生などの情報を集めます。

「予備校」では、大学後の情報をまとめた冊子などが配布されたり、実際に相談することができる場合もあります。私の友人には「予備校に課金して効率的に情報を集めた」と明言している人もいます。

 

よりリアルな情報を集めるためには「大学院説明会」「研究室訪問」などが有効です。

近年は大学院説明会をオンラインで開催してくれる大学院も多くあります。

社会人の場合、受験まで時間がかかる場合もあるので、進学予定の2~3年前から大学院説明会へ参加して情報を集めていくのがおすすめです。

また、特に進学したい!と考えている大学院の場合は研究室訪問をしたり、大学院の先輩と話す機会を作り、より生の声を集めていくことが大事です。

受験対策や実際の大学院生活について聞くことで、自分のニーズと合っているか、2年間やっていけそうかなどを検討することをおすすめします。

 

手軽に検索できる手段として、「SNSなど」でたまに情報が落ちていることがあります。

ただ、正確さに欠けますし、SNSの使い方は慎重な人が多いため、有益な情報を得るのは難しいかと思います。本当に知りたい情報は自分の足で集めたほうが無難かと思います。

 

私はコネなしの状態から、自分の足を使って、大学院の情報を色々と集めて、受験戦略を練りました。情報収集の方法については、こちらに詳しくまとめています。

志望校の先輩と知り合う方法5選【大学院 外部受験】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

研究室訪問

志望校が決定したら、必ず研究室訪問をしましょう。心理的にハードルが高いと感じるかもしれませんが、本当に合格したいのであれば、研究室訪問に行くことを強くお勧めします。

実際に先生と話して、研究指導の可能性や相性を確認し、疑問点を解消しましょう。また、自分自身を先生に知ってもらうことも大事です。

研究室訪問のやり方はこちらの記事を読んでください。

【完全版】研究室訪問のやり方まとめ【大学院受験】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

入試対策(心理学・英語・統計の勉強)

志望校を決めるのと同時に、入試対策をする必要があります。主に勉強するのは「心理学」「英語」「統計」の3つです。

「これから受験対策をはじめるぞ!」という人に「まず最初に購入して!」とお勧めしているのは「心理院単」です。入試ではほぼすべての大学院で英語の試験があります。心理学の英単語力は必須となるため、まずはこの単語帳の英単語を抑えることが大事です。

 

 

難関国立大学院に合格した受験勉強の方法や参考書情報は下記の記事にまとめてあります。

▶心理学の勉強法

【完全版】心理学勉強法まとめ【心理系大学院】【公認心理師・臨床心理士】【難関国立大学院合格】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

▶英語の勉強法

難関国立大学院に合格した心理英語の勉強法【公認心理師・臨床心理士】【大学院受験】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

統計学の勉強法

大学院に合格した統計学の勉強法①(統計学 スケジュール編) - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

▶おすすめ参考書まとめ

心理系大学院受験 参考書まとめ【難関国立大学院合格】【公認心理師】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

研究計画書の作成

めちゃめちゃ重くて、時間がかかり、大変なのが研究計画書の作成です。研究計画書は、ほとんどの大学院で出願時に提出するものとなります。

「自分が大学院でどのような研究をしたいのか」を先行研究を踏まえて、論理的に書いていく必要があります。

テーマを探し、先行研究を調べ、計画書を書き、添削してもらう…という作業を繰り返します。

 

心理学や英語の勉強は独学でできたとしても、研究計画書の作成は専門性が高い作業なので、研究の知見がある方に添削してもらうことを強く推奨します。

▶研究計画書の書き方

国立大学院に合格した研究計画書の作り方①(スケジュール編)【公認心理師対応大学院受験】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

 

 

面接対策

入試では、面接試験もあります。大学院の志望度や心理職としての適性などを見られていると考えています。

面接対策は受験直前でいいと思いますが、志望動機は早いうちから考えておくのがおすすめです。

志望動機については「心理職になりたい理由」と「この大学院に進学したい理由」を分けて考えておくと、面接のときに志望校に合わせた話ができます。

面接対策は予備校や先輩、友人にお願いしました。

 

▶面接対策について

心理系大学院受験の面接対策 【臨床心理士・公認心理師】【研究計画書】 - 通信制大学から心理系大学院 合格までの道のり

 

▶想定質問リスト

面接試験で作成した想定質問リスト【心理系大学院受験】|やま@心理系大学院生

 

健康になる(体力・精神面ともに)

個人的には「健康に過ごせる体力をつけておく」というのはすごく大切なことだと思っています。大学院生活は体力的にも精神的にもかなりハードです。課題や実習で忙しく、臨床やSVが始まると自分自身の内面とも向き合う作業が必要となります。

健康に過ごすための工夫やセルフケアの方法などを身に付けておくと、大学院生活以降でも役に立つと思います。

 

 

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おすすめの本

今回は、特に「心理職(臨床心理士公認心理師)になるか迷っている」「大学院進学を考えているが、将来の働き方やキャリアについて情報収集をしたい」「心理職として働いたときのイメージが知りたい」と考えている人におすすめの本を紹介します。

受験対策を始める前に「大学院へ進学するか」という意思決定をする際にも参考になると思います。

 

心理職の仕事と私生活 若手のワーク・ライフ・バランスを考える

現在社会人をしている人は、「本当に仕事を辞めてまで大学院へ進学するべきなのだろうか?」「実際に心理職として就職したらどんな生活になるんだろう?」ということで悩んでいる人もいると思います。そんな方にお勧めの本がこちらです。

心理職としての仕事内容はもちろん、ライフプランや金銭的な面、就活やキャリアの視点から、若手心理職がどのように考えているか、どんな葛藤を抱えているのかが赤裸々に書かれています。結婚や出産、お金など、割と突っ込んだ内容が書かれているのもリアルで、心理職を目指している学生にとっても励みになる内容だと思います。

また、就活や仕事を始めた後のちょっとしたコツなども書かれているので、大学院進学に悩んでいる人にとっても、「心理職として働くのはこんな感じなのかな」と参考になると思います。

 

 

心理職大全

「心理職は食べていけるのか?」といったテーマを掲げて書かれている本です。心理職のキャリアや魅力、働き方などについて様々な心理職へのインタビューをもとにして書かれています。

病院やスクールカウンセラー、学生相談、司法など様々な領域で働いている人の仕事の様子などが分かるので「こんな場所で働きたい」「こんな人の支援がしたい」と言ったことを考えるヒントになると思います。

また、大学院受験の予備校の先生が書かれているため、受験対策などについても言及されており、「これから大学院受験をする」人の指針となる一冊だと考えています。

 

 

また、他にも公認心理師臨床心理士の仕事や働き方について学べる、おすすめの本はこちらの記事で紹介しています。

psychology-study.com

 

 

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まとめ

今回は、社会人から臨床心理士を目指す人向けに、大学院の選び方ややることについてまとめました。

今の仕事を手放してまで大学院へ進学するべきか、臨床心理士公認心理師を目指すべきか迷っている人も多いと思います。あくまでも個人的な体験談をもとにして書いていますが、参考になると嬉しいです。

 

大学院生活のリアル(1週間のスケジュール・年間スケジュールなど)については、こちらのマガジンにまとめています。

note.com

 

このサイトには、社会人をしながら通信制大学で勉強し、その後国立大学院へ進学した筆者の勉強法や心理系大学院のリアルなどをまとめています。

更新情報はTwitter(X)@mtmt_yamaをチェックしてください。

記事を探すときは「サイトマップ」が便利です。

psychology-study.com

 

 

 

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