この記事では、心理系大学院受験に不合格となってしまい、今後どうするか迷っている人向けに「大学院に落ちた後に考えること」をまとめます。
不合格となってしまい、悲しいやら悔しいやら、何が悪かったか分からないといった気持ちがわいている人もいると思います。目の前が真っ白(真っ暗?)になっている方もいるかもしれませんが、この記事が「これからどうするか?」について考えるヒントになれば幸いです。
筆者は公認心理師・臨床心理士を目指して社会人から心理系大学院へ進学しました。
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現状を確認する
まず、あなたの現在のポジションと、1年の中のどのタイミングなのかを確認しましょう。
1.現役大学生
現役大学生の場合、周りが続々と進路を決めていく中で焦りの気持ちがあると思います。
就職するか、大学院進学のために浪人するか、はたまた別の選択肢を取るのか…考えられる進路についてはこの記事の下に書いてあるので参考にしてみてください。
また、進路に迷っている場合は大学のキャリア支援課や学生相談室などで相談することもできます。(たいていの大学は無料で利用できると思います)
周囲に相談できる人が居なかったり、ひとりで悩んでいる場合は、誰かに話を聞いてもらうことで考えが整理されたりすることもあるので、大学の相談室を利用して、自分の進路やキャリアについて相談してみるのもおすすめです。
2.社会人・主婦など
社会人や主婦、フリーターなどをしている人の場合、「今やっている仕事や家事」と「学業」の両立で苦労している人も多いのではないでしょうか。
受験勉強と日常の暮らしの両立を目指している時点で、十分すごいことだと思います。そのうえで、もう1回受験にチャレンジする意気込みがある場合は、時間の捻出方法や勉強方法、今の自分に不足していることなどを分析し、戦略を立てていく必要があります。
「受験を継続するか」「いったん見送るか」など、自分のライフプランとキャリアなどで悩んでいる場合は、キャリアコンサルタントなどの専門家に進路やキャリアについて相談をしてみるのも一つの手です。また、予備校など心理系大学院の受験対策をしている相談先や、すでに大学院へ進学している知り合いなどがいるのであれば、そういった方に勉強法や受験継続について相談してみるのもありかと思います。
1年の中のタイミング
心理系大学院の受験は大きく分けて「前期試験(夏~秋)」と「後期試験(冬~春)」の2種類があります。前期試験は7~10月ごろに実施される大学院が多く、後期試験は1月~3月頃に実施される大学院が多いようです。
大学院によっては「前期試験のみ」「後期試験のみ」実施しているところもあります。また、一般的には「前期試験」で定員の過半数を取り、「後期試験」では数名合格させる、といった受験スタイルを取っている大学院が多い印象です。受験の合格しやすさや定員、時期に関しては大学院ごとに大きく異なるので、志望校のスケジュールを早めに把握しておきましょう。
前期試験
不合格となったタイミングが「前期試験」の場合、「後期試験」に挑戦することが可能です。
志望校の選び直しや対策など、再び計画を立て直す必要がありますが、挑戦する価値は十分にあると思います。
後期試験
後期試験で不合格となった場合、次の4月からの進路について悩み、焦っている方も多いかと思います。考えられる進路を下で解説します。
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考えられる進路
後期試験を受験
不合格となったタイミングが「前期試験」だった場合、「後期試験」を受験することが可能です。すでに前期試験までに詰め込んでいる知識などはあるので、そこに上澄みしていく形で受験対策ができると良いかと思います。
「後期試験」のみ実施している大学院もあるため、そういった大学院は定員が多く狙い目かもしれません。逆に「前期試験」しか実施していない大学院へ進学したい場合は1年後の受験まで待つ必要があります。
また、有名大学院ばかりを受験した場合、倍率が高く合格が難しいといった可能性もあるため、少し視野を広げて大学院を探してみるもの一手だと思います。
浪人
「もう一年勉強して、合格を目指す」場合、「院試浪人」という選択肢もあります。心理系大学院の場合、志望する学生の数に対して、大学院の数が限られているため、他の学問領域と比べて「院試浪人」をしている人が多い印象です。自分も数名知り合いがいます。
予備校に通いながら浪人する人、アルバイトをしながら浪人する人、勉強に専念する人など様々な選択があります。
大学生の場合、戦略的に留年をして、新卒カードがいつでも切れるようにしておくのも選択肢の一つです。万が一大学院受験を諦める・撤退、することになったときに就活をする場合、「新卒カード」が切れるようにしておくメリットは大きいと思います。とはいえ、留年という選択肢を取る場合はメリット・デメリット等あると思うので、大学のキャリア支援課や先生、学生相談室などで進路について相談してみると良いと思います。(大学の図書館が使い放題、論文読み放題、大学の先生に質問し放題といった点も、大学に在籍するメリットだと思っています)
アルバイトでは、心理系の領域と関連がある「クリニックの受付」や「放課後デイサービス」「小学校の支援員」「塾講師」などを選ぶ人が多いのではないでしょうか。また、学生向けの有償・長期インターンに応募して色んな業界について学んでみたり、心理とは全く関係のない業界で働いてみるのも面白いと思います。(働いた経験は将来の臨床にも活きてくると思います)
研修生
志望する大学院の先生に頼み「研究員」「研修生」として在籍させてもらうといった方法があります。
大学院生ではなく、学部生やゼミ生と同じような扱いになると考えると良いかもしれませんが、筆者はあまり詳しくないので詳細は調べてください。「○○大学 研究員」や「○○大学 研究生・研修生」と調べると、詳細が出てくるかと思います。
学生ではないので、できることに限りはありますが、先生によってはゼミに出席させてもらえたり、研究のお手伝いができたりするチャンスがあるかもしれません。研修生に対する対応やできることは先生によって大きく異なると思うので一度相談してみると良いかと思います。
研修生として志望する大学へ入り、そこで合格している先輩に勉強法などを教えてもらい、受験対策を進めていくのも戦略の一つかと思います。
一度社会人として働く
一旦受験は諦めて、社会人として働くことも選択肢のひとつです。心理系大学院は、一度社会人を経験してから「やっぱり心理学が学びたい」と、入学してくる人が多い学問分野です。社会人経験者ならではの視点も、臨床をする上でプラスに働くこともあるでしょう。
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不合格の原因を考える
受験を継続するぞ、もう1回チャレンジするぞ、と思った人は一度不合格となってしまった原因を分析してみると良いと思います。
勉強不足
そもそも勉強不足、知識不足で不合格となったことが考えられます。
筆記試験の出来はどうでしたか?手ごたえはありましたか?出題された用語は全て聞いたことがある、説明ができるものでしたか?
過去問分析はちゃんとやりましたか?
知らない用語が出てきた、全然手ごたえがなかったという人はシンプルに勉強不足だった可能性があります。また、インプットばかりでアウトプットの練習が不足していても合格は難しいでしょう。
さらに、過去問分析をどれくらいしっかりやったか、という点も合否に関わってきます。心理学の出題範囲は非常に広い上に、大学院ごとに傾向が大きく異なります。どんなに勉強をしても、志望校の過去問傾向と合致していない範囲を勉強したら合格は難しくなります。
個人的に、過去問研究は大学院受験を制する上で最も重要だと考えています。筆者の過去問研究の方法はこちらで解説したので参考にしてください。
大学院とマッチングしていない
筆記試験はクリアしていたけど、面接で不合格となった人もいると思います。(たいていの大学院では、何が原因で・どの時点で不合格となったかは分からないと思いますが…)
他学部、他大学出身の人は「合格可能性」があるかをまず確認しましょう。大学院によっては、他大学出身者、他学部出身者、社会人経験者にあまり門戸が開かれていないところもあるので、事前に研究室訪問等で情報を集めておく必要があります。
また、自分のやりたい研究内容を指導してもらえるような教員がいるかどうかについても、事前に研究室訪問で確認しておく必要があります。「あなたのやりたい研究はうちでは面倒みれないよ、専門が違うよ」といった視点から、落とされている可能性もあるためです。
志望動機の弱さなど
志望理由書や面接時に聞かれた志望動機と、志望している大学院の特徴はあっているでしょうか。指導教員の元で学びたいという熱意や動機は、先生や大学院のニーズと合致しているでしょうか。
また、面接では「臨床心理士・公認心理師」としての適性をみられてもいます。大学院の代表として外部実習先に実習生として送り込めるような人物かどうか、といった点もチェックされていると考えられます。そのような視点からも自分を一度振り返ってみて、面接対策などをしていくと良いと思います。
これからできること
志望校を考え直す
「後期試験」へチャレンジすることになった場合、志望校を再び探す必要があります。また、もう一年受験をする、といった場合も、上記に書いた内容を踏まえて「本当に今の志望校でいいのか」という点を検証してみることをおすすめします。
志望校の選び方については、こちらの記事にまとめているので、参考にして下さい。
勉強計画を練り直す
自分が不合格となった理由を分析し、勉強計画を考え直してみましょう。場合によっては予備校の活用を検討してみるのもありだと思います。
大学院受験対策に関しては、このサイト内にも詳しく書いているので参考にしてください。
また、他の方が書いているブログや受験記も参考になるものが多くあるので探してみて下さい。
モチベーションの維持
受験勉強を継続する上で、モチベーションを維持することが難しくなる瞬間もあると思います。そんな時は、心理職になりたい理由をもう一度考えたり、思い切ってリフレッシュ・息抜きをしていくことも重要です。
また、心理系大学院生活について、実際に通っている先輩から話を聞くのもモチベーション維持の一つになると思います。大学院生活の体験談についてはこちらにまとめているので参考にしてください。
▶大学院生活の体験談
▶モチベーション維持
「心理職大全」を読んでみる
臨床心理士・公認心理師の働き方やキャリア、大学院の受験対策など、心理職になりたいと考えている人向けの情報が詰まっている参考書がこちらです。
心理職の幅広い働き方が書かれており、自分が受験する前に読みたかった…!と切に思った本でした。また、大学院を選ぶときに重要な視点が、70校以上の大学院へインタビューした経験から書かれているため、大学院受験を控えている人にも参考になると思います。
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まとめ
今回は、心理系大学院に落ちたらどうする?といった内容をまとめました。
受験勉強を継続するか、一度諦めるかといった判断には大きな決断が伴うので、エネルギーが必要になるかと思いますが、少しでも納得した進路決定に役立てば幸いです。
このサイトでは、心理系大学院に合格するための受験ノウハウをまとめています。更新情報はTwitter(@mtmt_yama)をチェックして下さい。
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