聖徳大学心理学科で「学べること」と「学べないこと」を比較し、得られる能力をまとめます。
公認心理師を目指している人の中には、通信大学の聖徳大学へ入学するか迷っている人がいると思います。特に、社会人や子育て中の人が大学で心理学を学ぼうとしたとき、通信制大学は選択肢のひとつになります。
筆者は、公認心理師になるために、聖徳大学心理学科へ3年次編入し、卒業後、国立大学院へ進学しました。
聖徳大学で心理学を学んだ筆者の体験談と、通学制の大学で心理学を学んできた大学院の同期・先輩の話をもとに、聖徳大学で学べることと学べないことを比較します。
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聖徳大学で学べること、できること
心理学の広い基礎的な知識
聖徳大学では、心理学の広い知識を学ぶことができます。過去に心理学の勉強をした経験がない人でも、カリキュラムをこなすことで、心理学の全体像をつかむことができます。
聖徳大学の場合、基本的に独学で学習を進める必要があります。
単位を取得するためには、指定された教科書や、参考書を読み、レポートを提出し、試験に合格する必要があります。科目ごとに試験の難易度は異なりますが、教科書の内容を理解していないと合格できないので、必然的に心理学の知識が身につきます。
また、カウンセリングを扱う臨床心理学だけでなく、基礎心理学の範囲も必修科目となるため、発達心理学や認知心理学なども学ぶことができます。
自分は、聖徳大学のカリキュラムを通して、範囲がとても広い「心理学」という学問分野の全体像をつかむことができました。基礎心理学の知識も、大学院で勉強する中で活きてくる場面が多くあるため、心理学を実践する「基礎体力」を養えたという点では大きかったなと思います。
心理実習
公認心理師を目指す場合、大学の学部4年の時点で64時間の心理実習に行く必要があります。心理実習では、実際に精神科や心療内科で心理支援を行っている専門職の方の元で、レクチャーを受けたり、グループワークの見学をさせてもらったりします。(内容は実習先によって異なります)
心理実習は現場を見て学べる貴重な機会です。自分は、実習先で直接先生から指導していただくことで、将来のキャリアや働く領域などについて具体的に考えられるようになりました。
通信大学生の場合、心理実習に行く条件がどの大学でも厳しいことを覚悟しましょう。放送大学の場合、学内の厳しい選抜を突破する必要があります*1。
聖徳大学の場合、実習先を自己開拓する必要があります。自分で、実習先を探してくる、ということです。自己開拓は大変ですが、実習先さえ見つかればだれでも心理実習に行くことができます。実習先の自己開拓でやることやスケジュールについては、こちらのサイト内にも詳細をまとめています。
他の通信大学と聖徳大学を比較した記事はこちらです。
仲間を得る
「自ら積極的に動く」という前提ですが、通信制大学や聖徳大学で同じように心理学を学んでいる仲間を見つけることができます。自分はSNS(Twitter)を通して、同じように聖徳大学で心理学を学んでいる方と仲良くなり、定期的に勉強会をしたり、情報交換をしていました。通話で何時間も心理学の話をしていました。同じ目標を目指している仲間ができると、とても励みになります。
また、年に数回開催される対面スクーリングでは、実際に同じ教室で心理学を学ぶことができます。(2022年現在はコロナ禍のため、スクーリングはオンラインで実施されています)
認定心理士の資格
大学を卒業するタイミングで、認定心理士の資格を取得することができます。申請にはお金がかかります。
「大学で4年間、心理学を学びました」という証明代わりに使える資格だと聞いています。
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聖徳大学で学べないこと、できないこと
大学院の受験対策
公認心理師を目指す場合、通信大学の卒業後、大学院へ進学し、2年間学ぶ必要があります。
聖徳大学では残念ながら、大学院の受験対策は一切行ってくれません。(大学院合格者の体験談が聞けるセミナー的なものはたまに開催されているようです)
大学院進学を目指す人は、聖徳大学の勉強とは別に、受験対策を進める必要があります。
大学院の受験対策でやるべきことはこちらの記事にまとめました。
卒業研究、卒業論文
聖徳大学の心理学科では、卒業研究や卒業論文を書くことができません。大学院を受験するときに、「心理学の研究成果」を提出する必要がある場合があります。
自分も、心理学の卒業研究は一切やらずに聖徳大学を卒業しました。大学院進学時点で、手持ちの心理学の研究論文は1本もありませんでした。
「卒業研究」「卒業論文」を書いていない人が大学院受験をどのように突破したのかはこちらの記事にまとめました。
カウンセリングのロールプレイ
将来カウンセリングをやりたい、と考えて、心理学を学んでいる人もいると思います。
聖徳大学では、カウンセリングのロールプレイやグループワークをする機会がほぼありません。スクーリング内で少しだけ触れた時間もありますが、せいぜい20分程度でした。
大学院の学びを通して、いろんな人とロールプレイ形式でカウンセリングを学ぶ機会が大事だと感じています。対面で「ロールプレイを実際にやってみる」とか、先生が授業中の雑談で話してくれる小話的なものから学べる機会がないのは、通信大学の弱みでもあります。
心理学の実践力は、本を読んでいるだけでは身につきません。対話やロールプレイを通した実践力は、大学院の入学後に養うことになります。
ゼミへの所属
聖徳大学では、卒業論文が書けません。もちろんゼミへ所属することもありません。
そのため、先輩から話を聞くことが難しいのが難点です。通学制の大学へ通っている学生は、ゼミへ所属し、指導教員や大学院生の先輩から指導を受けられる機会がありますが、聖徳大学ではそのような学びの機会はありません。
勉強の相談に乗ってもらったり、研究計画書を添削してもらったり(研究計画書は大学院受験をするときに作成する必要があります)、といったことができないのは、通信大学の弱みだと考えています。
先生への質問
聖徳大学の場合、先生へ直接質問する機会がほとんどありません。
質問したいときは、郵送で質問票を送る必要があります。質問内容への回答も郵送で返ってくるので、時間差がかなりあります。
スクーリングのときに質問できる時間がありますが、自分の質問したい内容に必ずしも回答してもらえるとは限りません。ゼミも開講されていないため、顔を合わせて直接会話形式で質問できないのは、勉強を進めるうえで悩む機会も多いのではないでしょうか。
試験内容などで分からないことがあっても、直接先生に質問できないことなど、もやもやする機会が何度かありました。
聖徳大学で得られた能力
最後に、聖徳大学の在学中に得られた能力(心理学の専門知識以外)をまとめます。
自己管理能力
聖徳大学では、レポートや試験、スクーリングの日程を自分で管理する必要があります。必要な情報を集め、勉強計画を立てて、計画通りに勉強を進めていくのは簡単ではありません。
軌道修正をしつつ、計画的に卒業を目指していく必要があります。
独学の力
基本的にすべて独学であるため、限りある情報の中から「どうやって勉強しよう?」「誰に質問しよう?」「使える参考書はなんだろう?」と考えながら勉強を進めていきました。
インターネットやSNSを使って情報や仲間を得たり、教科書を1から読んだり、参考書を探す力などがついたと思っています。
自信
通信大学を卒業した時に、自分の中に得られた最大のものは「自信」だと考えています。通信大学には、仕事や子育てと両立しながら、卒業している人が多くいます。ほかの活動をしながら勉強し、単位を得て、卒業するのは簡単なことではありません。
「自分はこんなにできたんだ」「こんな力も付いたんだ」と思えるようになりました。また、人見知りの自分が苦労すると考えていた、実習先の自己開拓も無事に突破した、というのは「この先もなんとかやっていけそうだ」という自信につながりました。
苦労しつつもいくつかの成功体験が積めるのは、通信大学に入学してよかったと思える1つの視点です。
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まとめ
今回は、通信大学の聖徳大学で「できること・学べること」と「できないこと・学べないこと」を比較し、聖徳大学で得られる力・能力をまとめました。
公認心理師を目指す人で、通信大学を探しているひとの参考になれば幸いです。
また、公認心理師を目指している社会人が通信大学を選ぶときに重視すべきポイントはこちらの記事にまとめました。
聖徳大学の評判や卒業に必要な勉強時間はこちらにまとめました。
このサイトでは、公認心理師・臨床心理士を目指して、社会人から通信大学→国立大学院へ進学した筆者の勉強ノウハウをまとめています。
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